31.感弾きのススメ 32.弦の張リ替え1 33.弦の張り替え2

31.感弾きのススメ
 ギターを先生について習うと、教わったことは熱心に取り組むんじゃが、「遊び心」も時には必要じゃ。今回は勘弾きのススメ!自分が知っている歌・童謡・歌謡曲・クラシックの名曲、何でもいいから手探りでメロディを弾く練習をしてみよう!全部ハ長調でいいんじゃよ(もちろんマイナーはイ短調となるが…)。右手や左手の使い方もある程度勘を働かせてみよう!そして、できればそのときに階名をいいながら練習すると効果バッチリなんじゃ。

 音楽の基礎訓練の一つに「ソルフェージュ」というのがある。音符を見て曲を階名で歌うんじゃが、その訓練の基本がこの「勘弾き」でできるんじゃよ。この訓練を続けると、知っている曲はいつのまにかギターを持たないでも階名でうたえるようになる。イメージにはギターのポジションが浮かぶはずじゃ。そしてそのとき、ギターは君の体の一部になったことを実感するじゃろう!ぜひ取り組んでみたまえ!効果大を約束しよう!

32.弦の張り替え(1)
「塾長、弦の張り替えについて教えてほしいのですが…」
「ギターの弦というのはナイロンじゃから、その特性を良く知っておくことじゃな。高音弦はナイロンが剥き出しの状態で張られているので表面に傷がつきやすい。フレット棒との摩擦や右手の爪などで消耗する。余韻が短く感じたり、音が合わせ難くなったりするんじゃ。右手の爪で弦が痛んだ場合などは音がザラッとしてしまう。低音弦はナイロンの細い繊維を銅線で巻いているから、フレット棒との摩擦で消耗するのは銅線の方じゃね。その他手の汗や油分などが弦に入り込むことでボケた音になっていく。あと、酸化して錆びていく。ひどい時は緑青が付いたりするんじゃよ。一般的に言って低音弦のほうが消耗が早いようじゃね」
「塾長はどれくらいで張り替えるんですか?」
「低音弦の場合は張り替えてから30時間ほど弾くとバテていく感じじゃ。高音弦は弦のメーカーによってずいぶん違いがあるが、大体低音弦の2〜3倍時間の程度の使用には耐えている感じじゃな。」
「すると、60時間から90時間ですか…。毎日2時間練習すれば低音弦は半月で高音弦は一月から一月半かア…。意外と持たないですね」
「さらに、手によく汗をかく人とそうでない人によっても違いが出るんじゃ。私は手に汗をほとんどかかない体質だから、まだいいんじゃがね。」
「季節にも関係ありますか?」
「大いにあるんじゃ。梅雨時は弦が湿気を吸うから一段と早く痛む。さらに、日本の気候風土は場所によってかなりの違いがあるから、どこに住んでいるかによっても消耗の差が出るんじゃよ」
「ということは、弦の寿命はメーカーと体質と環境で変わるということですかア…。こんなに色々な条件で変わるのでは弦の寿命を一概にを言うのも難しいわけですね!」
「そういうことじゃな。大切なのは新品の弦の音を良く聞いて、その状態がどれくらい変化したかを判断できる耳をもつことじゃ。自分が気に入らない場合は、たとえ新品でも取り替えたほうがいいんじゃよ」
「ええーっ?新品でもですかア?」
「最近はメーカーの努力で減ってきたんじゃが、稀に新品でも不良振動を起こしたり、音程が合わない弦が入っていることもあるんじゃよ。不良弦を取り替えてくれる良心的なお店もあるんじゃが、大切なのは不良弦を不良弦とわかることじゃな。」
「そうなんですかあ…。ところで、弦は練習後少し緩めたほうがいい、と書いている本と、練習後は緩めずにそのままにしましょう、と書いている本があったのですが、塾長はどうすればいいと思いますか?」
「ギターのネック反りの問題じゃね。一昔前はやや緩めたほうが良かったかもしれないが、今では楽器の材料も製作家の技術も格段に良くなっているはずじゃから、そのままにしておいて一向に差し支えないはずじゃ。一度弦を緩めると音程が安定するまで時間がかかるという欠点もある。ただし、長期にわたってギターを弾かない場合などは思い切り緩めておいたほうが無難じゃな。」
「わかりました。どうもありがとうございました。」

33.弦の張り替え(2)
弦の張り替え作業をできない人が意外と多いので、このページでしっかり理解しよう。
写真が見づらい場合は、写真をクリックするとやや大きめの写真になるんじゃよ。

1.ブリッジに弦を通す。サウンドホール側から通すのが普通。 2.出てきた弦を折り返して… 3.再びブリッジ側に持っていき 4.弦を結わく。写真は1回結わいた図。
5.2回結わいた。サバレス・アリアンスのような細い1弦は4〜5回位結わいた方がよい。 6.これなら見えるかな? 7.右端を右方向に引っ張ると… 8.このようになるはず。(※24.25.の注意を参照しよう)
9.次にヘッド側の巻き方。まず、写真のように通すべき穴を真横にしよう。 10.1弦をナット側からヘッド側に通した図。ちょっと見づらいかな? 11.ブリッジ側で行ったのとまったく同様に弦を折り返す。 12.そして弦を結わこうとしている。
13.1回結わいた図。細い弦は3回以上結わく。 14.ヘッドの下のほうから引っ張る。ただし普通の力で。力を入れすぎると弦がダマになってしまう。 15.左の写真が見づらいかな、と思って予備の写真。 16.今度はブリッジ方向にかなり力を入れて引っ張る。
17.このようになるはず。 18.巻きつけていった写真。2弦・3弦も9.から18.まで同様です。 19.3弦などの太い弦は巻き数が少なくてもしっかり止まるはず。 20.4・5・6弦は両端のコイルの巻き方が違っているものが多い。
21.ブリッジ側に通すのはコイルが最後まで巻かれているほうにする。 22.弦を折り返して1回結わいた図。 23.このように止めよう。写真でわかると思うが…。 24.この5弦はしっかり止まっていない。弦がクロス(交差)している部分が上に来ている。(表面版から見て水平部分)
25.これは成功図。弦がクロスしてる部分がサイドに止まっている。(表面版から見て垂直部分)高音弦も同様の注意が必要です。 26.ヘッド側に弦を通すとき、ナイロンが丸くなっていると通しづらいのでニッパー(推奨)か、はさみを使ってカットする。 27.高音弦の場合と同様に、通す穴の向きを真横にする。(4弦の穴の向きが正しい) 28.弦を通したところ。弦のたるみがないくらいに引っ張ってよい。
29.回結わいて弦を下のほうに持っていく。 30.下で引っ張る。ただし力を入れすぎないこと。このあとブリッジ側にはかなり力を入れて引っ張ってよい。 31.上の写真から90度巻きつけた写真。 32.弦を巻きつけていった写真。弦の端を上からかぶせるように巻いているのがわかるかな?
33.5弦も同様に。 34.やはり弦をかぶせながら巻いている。 35.6弦は太いからかぶせるようには巻いていない。 36.切れ端はノイズの原因になるからカットしよう。
これで全部の弦の張り替えが完成です!
写真が見づらい場合は画像をクリックしてご覧ください。少し大きな画像になります。
37.ブリッジ側が特に重要。表面版に弦があたるとノイズが発生する。 38.このように高音弦もカット。 39.散髪してさっぱりした感じ。

以上で弦の巻き方の基本がわかると思う。人によっては低音弦のブリッジ側も高音弦と同じように巻いて止めている。弦の張力はメーカーによってかなり差があるが、6本全部で38キロから45キロぐらいじゃ。だからどんな巻き方をしてもしっかり止まっていること、ノイズが発生しないことが大切じゃ。弦の張り替えは最初は大変な時間を要すると思うが、慣れてくれば5分で全弦を交換できるようになる。しっかり覚えてくれたまえ!

31.感弾きのススメ 32.弦の張り替え1 33.弦の張り替え2

前ページ次ページ

●トップページへ